The Idiot, the Curse, and the Magic Academy

Chapter 109



シャルと別れ、家に帰って漫画を読んでいると、ゆっくりと扉が開かれる。

「ふっふっふ……」

ノックもないし、トウコだろうなと思っていると、アホが不敵な笑みを浮かべていた。

「何だよ?」

「どうやら悪の生徒会の長は想像通り、男に泣きついたようだね」

何言ってんだ、こいつ?

「生徒会なんてないぞ。シャルが一人で雑用をしているだけだ」

あと、何のキャラか知らんが、どう見てもお前が悪側だ。

「マジレスはいらない……我が双子の兄もやはり女を取ったな」

話が通じねー……

「お前、高校生にもなってそういうのやめろよ。こっちが恥ずかしいわ」

「『奴は長瀬さんちの最弱よ』って言うまで待ってよー」

四天王かな?

「何がしたいんだよ」

「お兄ちゃん、会長と組んだんだね」

トウコが普通に戻り、床に座った。

「そうだな。ジェニー先生に二度見されたけど」

「仲が悪いことで有名なイヴェールとラ・フォルジュだもん。そりゃそうでしょ」

「仲が悪いのは家だけだろ。なんで俺がそれに付き合わないといけない? ラ・フォルジュ派の中にも嫌な奴はいるだろうし、イヴェール派に良い奴もいる。お前が無理やり町の外に付き合わせているノエルはイヴェール派だぞ」

可哀想に。

「まあ、そうだけどね。実の妹より敵の女を取る兄もいるし」

まーだ根に持ってやがる。

「それで何だよ? 用件はそれだけか?」

「対戦表は見た?」

「見たよ。お前、シャルを殴ったら殺すからな」

ユイカはコブラツイスト。

「いや、演習じゃん」

「リベンジって燃えてただろ。シャルがガチへこみしてたぞ。可哀想に……」

すげー及び腰だったし。

「本当に泣きついたんだね……」

「他に友達いないんだってさ」

「それについては何も言えないけど、友達がいても会長の性格上、弱みは見せないだろうね」

多分な。

学園ではいつも仏頂面だし。

「お前、マジでやんの?」

「当たり前じゃん。リベンジ云々は置いておくとしてもやるからには勝たないと。あと、ユイカがやる気満々」

あいつめ……

「お前、他の2組は知ってるか?」

「知らない。誰あれ? 日本人っぽい名前もあったけど」

「調べんのか?」

「そんなものは不要! 力でなぎ倒す!」

こいつが勉強できるのは多分、神様が調整をミスったからだな。

どう見てもバカの言動だ。

「あっそ。これだけは言っておく。絶対に飛ぶなよ」

「それは空気を読むよ。タイミングわりーって思ったもん。騙してないのに規定変更のせいで会長を騙したっぽくなってるし」

さすがにどうかと思うわ。

「あと、負けても俺を恨むなよ。己の弱さを嘆け」

「ほう? 魔力しか能のない劣等の分際でこのスーパーエリートウコ様に勝てると?」

なんでいつも悪役側なんだよ。

あと、スーパーエリートウコ様は上手いようで上手くないぞ。

「魔力しか能がないのはお前の相方もだろ」

「……そうだった。テイク2! ほう? 裏口入学のバカ…………ユイカもじゃん」

そうだな。

「ふん。スーパーエリートウコ様がバカップルを成敗…………」

「お前、もうしゃべんな」

嫌なことを思い出したわ。

「ふ、ふん。こうなったら特訓だー」

トウコは立ち上がると、部屋から出ていった。

「あいつ、マジでアホだな」

とりあえず、明日の勉強会もウチじゃない方が良さそうだわ。

俺はシャルに電話し、明日の勉強会をファミレスに変更することを伝えると、読書を再開した。

翌日は魔法大会のことを一旦、忘れ、シャルといつもの勉強会をする。

というのも、魔法大会のせいで来週と再来週は勉強会が開けないことに気が付いたからだ。

テストもそう遠くないのでシャルに教えてもらいながらいつものおさらいに加え、予習もしていった。

そして、日曜日。

俺は朝から家を出ると、シャルの家に向かう。

シャルの家に着くと、呼び鈴を鳴らした。

すると、メイド服のクロエが扉を開け、門扉までやってくる。

「おはようございます。本日はよくおいでくださいました」

「なんで真面目に仕事してるの?」

いつものおふざけが見えない。

「そんな純粋そのものの目で見ます? 普通でしょう」

あなたが普通ではないからでは?

「シャルは?」

「リビングで待ってますよ。どうぞ、どうぞ」

クロエが門扉を開き、招き入れてくれる。

そして、家に入り、リビングに案内されると、シャルが座って待っていた。

「おはー」

「おはよう。わざわざ来てもらって悪いわね」

「まあ、ウチにはトウコがいるからな。対策会議にも普通に参加してくるぞ、あいつ」

バカだもん。

「トウコさんは軽いからね。まあ、座りなさい。クロエ、コーヒー」

「かしこまりました」

クロエがキッチンに向かったのでシャルの対面に座る。

すると、シャルが数枚の何かの紙を取り出した。

「何これ?」

「対戦相手の情報をまとめてみたの」

マメだなー。

さすがは何冊も本を書く人だわ。

「ようやくやる気になったか?」

「ええ。やるからには勝つしかない。相手が誰であろうと、怯まずに立ち向かうのがイヴェールなのよ」

昨日までのシャルを見てなかったらかっこいいと思うんだけどねー……

「切り替えができたみたいで良かったわ」

「決まってしまったことだからね。正直、昨日の夜は生徒会長なんて雑用係をするんじゃなかったと後悔したわ」

まあ、魔法大会に出たくなかったから生徒会長になったのに結局出るハメになったからなー。

やり損だ。

「別にいいじゃないですか。生徒会長になったからツカサ様と出会え、こうして一緒に戦うことになったわけです。それはとても素敵なことだと思いませんか?」

コーヒーを持ってきてくれたクロエがテーブルにコーヒーを置きながら言う。

「クロエ、今日はどうしたんだ? なんか変だぞ」

「そうね。普通に良いことを言ってる。風邪でも引いた?」

いつもはしょうもないことを言うのに。

「……息ぴったりですね。熟年夫婦みたいです」

あ、いつものクロエだ。

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